筋肉は動き方を忘れる? 眠っている筋肉のスイッチを入れる話

最近、物忘れが多くなってきたと感じている、ふらっとサロンの河合です。

今朝も、昼食用に用意されたおかずが冷蔵室にあるのを見ていました。

ところが、朝食を済ませてメールをチェックしたあと、昼食のために冷凍食品を詰めているうちに、冷蔵室のおかずを入れることをすっかり忘れてしまったんです。

家人に言われるまで、全く気付きませんでした。

そんな出来事から、ふと考えました。
筋肉の動きについては、どうなんでしょう? 身体も動き方を忘れることがあるのでしょうか。

結論からいうと、筋肉そのものが、おかずのことを忘れる私と同じように動作を忘れるわけではありません。ただ、使わない期間が続くと、力の出し方や動きの滑らかさが変わることはあります。

筋肉の動かし方は、脳や神経が学んでいる

立っているとき、「今はこの筋肉に力を入れよう」と一つずつ考えることはありませんね。歩くときも、脚を動かす順番を毎回確認しているわけではありません。

脳や神経の働きによって、たくさんの筋肉が協調し、姿勢や動きを支えています。

自転車に乗ることなど、練習を重ねると自然にできる動きもあります。こうした動きの学習には脳・神経系が関わります。「筋肉の記憶」と呼ぶことがありますが、この記事では、身体の動かし方を覚えることのたとえとして使います。

冒頭の物忘れと、身体の動きの学習は、そのまま同じ仕組みとして結びつけられるものではありません。

使わない期間が続くと、力と動き方が変わることも

例えば、骨折して足をギプスで固定したあと。固定が外れても、すぐに以前と同じように歩けるとは限りません。

筋力が落ちたり、関節が硬くなったりするほか、神経系の働きや筋肉同士の協調も関わります。人の手や腕を固定した研究では、筋力とともに、動きを担う脳の働きにも変化が報告されています。

これは「筋肉が記憶を失った」という意味ではありません。以前の動きをするための条件が変わっている、と考えると分かりやすいでしょう。

力を出す能力と、その力を動作の中でうまく使うこと。両方に目を向けたいんですね。

筋肉の力、脳と神経の働き、筋肉同士の協調、関節の動きが身体の動きに関わることをパンダが説明する図。

リハビリは、動き方を学び直すことでもある

固定後のリハビリでは、状態に合わせて関節を少しずつ動かし、筋肉に力を入れ、歩くなどの動作を練習していきます。

筋力や関節の動く範囲を取り戻すことに加え、筋肉を協調させて動く練習も大切です。親しみやすく言えば、「身体に動き方を思い出してもらう」ことでもあります。

もちろん、リハビリは動きの学習だけではありません。けがの回復具合や痛み、生活で必要な動作などを含めて考えます。骨折後は自己判断で負荷を増やさず、医療機関の指示に沿って進めてください。

痛い場所だけでなく、筋肉の働きの偏りを見る

日常でも、筋肉を使う機会は均等ではありません。

座り仕事が長ければ、お尻の筋肉を積極的に使う場面は少なくなりがちです。身体の使い方によっては、腰など別の部分に負担が偏る場合もあります。

ふらっとサロンでは、負担が偏っている筋肉を「過労筋」、本来の役割を十分に発揮しにくくなっている筋肉を「不労筋」と呼んで説明することがあります。

これは、筋肉の働き方を伝えるための施術上の呼び方です。医学的に確立された診断分類ではありません。座り時間だけで、お尻の筋肉が働いていないと決めることもできません。

腰のつらさには、筋肉以外の要因も関わります。だから私は、痛いところや硬いところだけで判断せず、身体全体の動きと筋肉の働きを確認することを大切にしています。

「筋肉のスイッチを入れる」は、施術を説明する比喩

ふらっとサロンでは、キネシオロジーの考え方を施術に取り入れています。

まず筋肉の働きを確認し、力が入りにくいところや働きの偏りに注目します。
状態に合わせて調整し、そのあとに筋肉の反応や身体の動きをもう一度確かめます。

うまく働いていないと考えられる筋肉に、再び役割を果たしてもらうよう働きかける。
その考え方を、私は「筋肉のスイッチを入れる」と表現しています。

電気のスイッチのように、必ず切り替わるという意味ではありません。また、神経の記憶を回復させる効果が科学的に実証されている、という説明でもありません。

筋肉のチェックで病気を診断したり、神経の機能を客観的に測定できたりするというものでもありません。
一般的な運動学習の知見と、当院の施術上の考え方は分けてお伝えします。

パンダが筋肉の働き方の確認、必要に応じた緊張への対応、使う練習と筋力づくりを組み合わせる考え方を説明する。

私が大切にしている「見つける・緩める・鍛える」

筋力を高めることは大切です。そのうえで、どこに負担が偏り、どの動きがしにくいのかも見たいところです。

働き方を「見つける」。
必要に応じて緊張しているところを「緩める」。
使う練習と、必要な筋力を「鍛える」。

この三つを、その人の身体に合わせて考えます。鍛えることを後回しにする決まりではなく、力と使い方を一緒に見直すということです。

動きにくさを感じたら、まずは「どんな場面で、どの動きがしにくいか」に目を向けてみてください。急な脱力やしびれ、動きにくさが続く場合は、筋肉の使い方だけと決めつけず、医療機関へ相談しましょう。

身体には、まだ十分に使えていない力があるかもしれません。一つひとつの筋肉が無理なく役割を果たせるように。ふらっとサロンでは、身体全体のつながりと筋肉の働きを大切にしています。

参考資料

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