デスクワークやスマートフォンに集中したあと、立ち上がったときに、
「あれ、なんだか身体が動かしにくいな」
と感じることはありませんか。
最初の一歩が小さくなる。
いつもより、しゃがみにくい。
腕を上げると、肩まわりが少し重く感じる。
そんなときは、つい気になる場所だけを動かしたくなります。
でも、身体は一つの場所だけで動いているわけではありません。
足首、股関節、背中、肩甲骨などが少しずつ役割を分け合いながら、一つの動きをつくっています。
大切なのは、どこか一つを「原因」と決めつけることではありません。
普段あまり使っていない動きに、まず気づいてあげることです。
長く座っていると、身体の動きも同じになりやすい
椅子に座っているあいだは、足首や股関節の角度が大きく変わりません。
パソコンやスマートフォンを見る時間が続くと、背中を反らす、身体をひねる、腕を大きく上げるといった動きも少なくなりがちです。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないようにし、少しでも身体を動かすことが勧められています。
だからといって、がんばって大きく動かす必要はありません。
同じ姿勢が続いたあとに、できる範囲で違う動きを入れてみる。
まずは、それくらいで大丈夫です。
まず見てほしいのが、足首です
足首は少し地味に見えるかもしれませんが、歩くときも、階段を上るときも、しっかり働いています。
しゃがむときも同じです。
かかとを床につけたまま膝を前へ動かすには、足首が曲がる必要があります。
もし足首を動かしにくいと、かかとを浮かせたり、上半身を前へ倒したり、足を外へ向けたりして動こうとすることがあります。
もちろん、足首だけで不調の理由が決まるわけではありません。
それでも、膝や腰が気になるときに足元へ目を向けてみると、身体の使い方に気づくきっかけになります。
股関節は、歩く・立つを助けています
股関節は、脚を前後や横へ動かしたり、身体の向きを変えたりするときに働きます。
歩幅を広げる。
片脚へ体重を移す。
椅子から立ち上がる。
よく考えてみると、毎日のいろいろな場面で使っています。
そして、その動きを支えているのが、お尻や内もも、太ももの筋肉です。
股関節の動きが小さくなると、骨盤や腰、膝をいつもより多く使って動くことがあります。
腰だけを伸ばしてもすっきりしないときは、股関節の動きも一緒に見てみてください。
腕を上げるときは、背中と肩甲骨も一緒です
腕を上げるとき、動いているのは肩だけではありません。
肩甲骨は胸まわりの上を動き、背中の中央にある胸椎も、姿勢や腕の動きに合わせて変化します。
胸椎というと少し難しく聞こえますが、首と腰のあいだにある背骨の部分です。
座って背中を丸めた姿勢では、身体を起こした姿勢より腕を上げにくくなることが研究でも確認されています。
ただし、姿勢だけで肩の不調が決まるわけではありません。
腕を上げにくいと感じたときは、肩だけでなく、背中をひねる動きや肩甲骨まわりにも目を向けることが大切です。
少しだけ、今の動きを確かめてみましょう
ここからは、二つの簡単な動きを試してみます。
転ばないように、壁や安定した椅子の近くで行ってください。
痛みや強い違和感、ふらつきが出た場合は、無理をせず中止しましょう。
1.椅子に手を添えて、小さくしゃがむ
足を腰幅くらいに開き、椅子の背に軽く手を添えます。
かかとを床につけたまま、無理のない範囲で膝と股関節を少し曲げて戻します。
かかとが浮かないでしょうか。
左右どちらかへ体重が寄ったり、上半身が大きく前へ倒れたりしていないでしょうか。
良い・悪いを決めるのではなく、今の動きを感じるつもりで見てみましょう。
2.椅子に座って、身体を左右へ向ける
椅子へ浅く座り、両腕を胸の前で軽く組みます。
骨盤は正面へ向けたまま、背中からゆっくり右、左へ向きます。
左右で動かしやすさに違いはあるでしょうか。
肩や腰だけを無理に動かしていないかも、確かめてみてください。
このチェックだけで、特定の関節が悪い、特定の筋肉が弱いと判断することはできません。
その日の体調や普段の姿勢、過去のけがなどによっても、動き方は変わります。
身体は、チームのように動いています
足首が動けば、それだけですべてが整うわけではありません。
股関節、背中、肩甲骨も同じです。
それぞれが必要な場面で働き、身体全体で無理なく動けることが大切です。
今日は長く座っていたな、と思ったら、立ち上がって少し歩いてみる。
軽く背伸びをする。
椅子に座ったまま、無理のない範囲で身体を左右へ向ける。
まずは、できることから少しずつで十分です。
私は、痛い場所だけを追わず、身体全体のつながりを見ることを大切にしています。
ふらっとサロンの「身体のバランス調整」でも、姿勢や関節の動き、筋肉の働きなどを、その方の身体に合わせて確認していきます。
どこを動かしにくいのか、自分ではよく分からない。
そんなときは、ご相談ください。
一緒に、今の身体の動きを確認していきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
- Kebaetse M, et al. Thoracic position effect on shoulder range of motion, strength, and three-dimensional scapular kinematics. Arch Phys Med Rehabil. 1999.
- Macrum E, et al. Effect of limiting ankle-dorsiflexion range of motion on lower extremity kinematics and muscle-activation patterns during a squat. J Sport Rehabil. 2012.


